心を潤す記憶

今週のお題「雨の日の過ごし方」

 

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今日の京都は束の間の晴れ模様。

 

梅雨入り以来、雨がちな日が続いたので

今日は久々に家全体の換気をしている

洗濯をして、軽く掃除をして、風の通る室内で伸び伸びするのは心地良い

貴重な晴れの日を享受しながら、梅雨の楽しみといえば何があったかなと

改めて考えてみることにした

 

さて、暦の上ではすっかり夏であるこれからの時期、

京都暮らしで楽しみなことはなんだろう

 

私がこの時期楽しみなのは、

紫陽花、クチナシの香り、青楓、苔むした庭、夏椿。

夏椿は京都に住み始めてから出来た友人に教えてもらった

夏椿とは6月頃に咲く白い椿の花だ

平家物語でも諸行無常のシンボルとして描写される「沙羅双樹」になぞらえて、

「沙羅の木」とも呼ばれ、寺院でよく植えられているそうだ

 

夏椿は、朝に花開いて夕方には落ちてしまう一日花だ。

その美しさと儚さに「無常」を想起させられる

 

妙心寺塔頭東林院は夏椿で有名な寺院で、友人に誘われて訪れた

途中道に迷って、雨は幸い降っていない日だったが

湿気塗れた空気の中、汗だくになりながら探し歩いたのを覚えている

妙心寺についてからも敷地が広く早足で向かったものの、

東林院に辿り着いたのは入場時間ギリギリであった

 

縁側で、説法を聞きながら眺めた庭の夏椿

木についた白い花たちと、苔の上に落ちた白い花たち

火照りが収まり汗がひいてくと同時に、心に染みるものがあった

この時期が近付くと毎年、あの時のしっとりした空気を時折思い出す

 

東林院は通常非公開で、夏椿の時期は二週間ほど公開されている。

コロナが落ち着いたらまた訪れたい場所だ。

 

こうして思い起こすと、この時期は五感が刺激された記憶が多いように感じる

そんな描写があった作品があった

 

 

 「日々是好日」

樹木希林さんと黒木華さんが出演する、茶道の物語

雨の音を聴く描写がとても美しかった。

 

そういえば、夏の抹茶碗が私は好きだ

茶道には全然詳しくないのだが、

夏の時期の抹茶碗は、浅く口が広くなる

そうすることでお茶が冷めるのが早くなるのだという

(逆に冬の茶碗は背が高く、筒茶碗と呼ばれるものもある)

絵柄もデザインも夏めいて、爽やかな物が多くて楽しい

茶道は季節感を何より大事にするので、

お茶道具屋さんやお菓子屋さんのディスプレイはこの時期とても涼やかで楽しみだ

 

昔、お茶をしている方にお会いしたときに

「夏は水を注ぐときに水音をしっかり立てることで、

 お客さんに涼しさを感じてもらえる」

と教えてもらったことがある。

 

こういう風に、

五感を刺激されながら、

工夫して蒸し暑さを凌ぎ、

工夫することを楽しむのが、梅雨の醍醐味なのかも知れない

 

 

でもやっぱり、一番楽しみなのはお菓子。

最終的には花より団子である。

 

先日も触れたが、水無月は外せない。

もちもちしたういろうのようなものに小豆が乗った三角形の和菓子だ

氷室の氷を模した、暑気払いと無病息災を祈ったお菓子で

半年間の穢れを落とす、夏越の祓(6月30日)に食べるのが習いだ

京都の和菓子屋なら大体どこでも作っていて、5~7月くらいに販売している

私の近所の和菓子屋でも、もう店頭に並んでいた

食べ比べなどしてみたいが、結構腹持ちが良いのと

一つのお店だけでも、抹茶、黒糖など2〜3種バリエーションがあることが多いので

実現するのはなかなか大変そうだ

 

個人的にはわらび餅も外せない

蕨は春のものなので、わらび餅自体は春の季語らしい

旬とされるのも4〜5月なので旬は過ぎてしまっているのが、

プルプルした見た目や食感が涼しげなので

私的には水羊羹の一歩手前にいる夏のお菓子という感じがしている。

それゆえ、私はこの時期よく食べたくなる。

 

京都人に勧められて個人的にも美味しかったわらび餅

ecstore.bunnosuke.jp

 

「文の助茶屋」

京都に住む前に観光でお店にも行ったことがある。

清水寺のほど近く、観光地ど真ん中にある甘味屋さんだ

遊び心あふれる店内で、甘酒とわらび餅が絶品だった

ネット通販もやっているようなのでわらび餅好きの方は是非。

 

あと、一度は食べてみたいと思いつつ、

いつも何となく手を出せないわらび餅がこれ

 

 笹屋昌園の、「本わらび餅極み」

見た目から圧倒的に訴求してくる「極み」感

伊勢丹で出会うたびに気になっていたが、いつも躊躇してしまっていた

今年こそ挑戦したい

 

 

 

今年の梅雨は

雨音を聴きながらお家で和菓子アフタヌーンティー

というのが間違いなさそうだ

 

 

今から雨が降るのが楽しみである